さなぎ長文

けいば 妄言

0白球と馬券とぬまー僕は鉄火場で虚無をする

すべてのはじまり

もし僕が東京ドームの23番入り口からの巨人対ヤクルトのチケットを買わなかったらば僕はどういう趣味を新たに見つけてどうなってしまったのだろうか。それとも新しい趣味を見つけずにネットゲームや野球観戦をし続けていたのだろうか。それを考えるほどにはあの偶然はきっかけであった。
 最初、500円の内野指定のオープン戦のチケットがあってね、僕たちはヤクルトファンでも巨人ファンでもなかったけど、安いしついでに東京でご飯とかも食べたいし、それ目当てに母親と東京ドームにいったのだ。でも水道橋に着いたときにはそのチケットは売り切れていた。残念。
 だからでもせっかく水道橋に来たんだから、なんかほかのチケットを買って、東京ドームで野球を見ようとほかの席を探した。それがとある席であった、それは23番ゲートだった。繰り返す。23番ゲートだったのだ。

 そのゲートの近くに、緑の看板のあれがあった。場外馬券場、いうならばウィンズだった。
 承前しておくと僕はその前にも何回か競馬に触れることはあった、親に「すごい有名な馬だから見ておきなさい」と言われてなんだったかわからないディープインパクトのレースをテレビで見たり、それこそウマ娘がゲームサービス前に少しずつ宣伝し始めていた頃だったから、おそらくあれがらがきっかけを支える要素でもあったと思う。
 
 僕なにも馬券について知らなくてね、最初はこれが馬券の発券機だって思ってオッズカードを発券してた位だったんですよ。それで何もわからないから受付のお姉さんに聞いて、やっと書けた馬券が、弥生賞のダノンプレミアムとワグネリアン馬連だった。
 
 謎に馬券を買ってですねふかふかの東京ドームの席に座るのです。
 僕は結果をスマートフォンのインターネットから調べて、青木のファンファーレを聞きながらそれを確認する。

「お母さん!当たったよ!当たった!!!」

さあこれがある意味天国と無間地獄の始まりなのです。ビギナーズラックで馬券が当たるってすごくいいですよね。私はそれをできたのでかなり幸運な競馬ファンだといえるかもしれない。そこからですね、是非競馬場に行きたいってなったんですよ。だってその頃の私は何かほかのことを知りたかったからなのです。その先が天国と無間地獄だと知っても。あるいは。

 さてこれが馬券との出会いとしてのウィンズ水道橋のおはなしですが、のちのちここで自分が大変な状態になるのですがそれはまた次の機会に。

 

 じゃあ次の話をしましょう。ウインズ新宿の話です。

 

緑うるわし所沢を背景に


 その日は紛れもなく日本ダービーの日で、でも僕のその日の予定は西武ドームに行って日ハム戦を見るという物だった。だって五月のうららかな日は、数少ない西武ドームで何の苦しさもなく観戦できる頃合いなのだ。そこには暑さや寒さはなく、ドームの隙間から見える緑は青々として、中村剛也がホームランを打つ。

 ドームの話を続けすぎるのもあれなので、そう、埼玉に行く途中に東京はあるわけで、僕はどうやらか調べてウィンズ新宿で馬券を買うことにした。もう馬券の買い方は覚えたぞ。んでじゃあ何買おう、何買おうってなって迷って結局、弥生賞で買ったダノンプレミアムとワグネリアン、そしてなんか馬名がかっこいいと思っていたエポカドーロの単勝、500円ずつを買った。
  
 若干わくわくしながら、西武線に乗る。
 また前回と同じように、レースをリアルタイムで見ることはせず、所沢で曖昧な気持ちで獅子たちを見ながら結果を待っていた。結果は自分で調べるよりさきに親からLINEで伝えられてくる「17番!!17番の馬勝ったよ!!5000円ぐらいになるよ!!」

 ちなみに私はそのときそれどころではなかった。なぜなら
 なぜなら浅村が二塁を踏み忘れ、
 あと浅村が二塁を踏み忘れ、それが結局逆転負けを呼んでしまったからだった。浅村 おまえ浅村 精一杯の呪詛を吐いたが、いまでは呪詛を吐けるだけあの頃はよかったのかもしれない。みちのくの水はおいしいですか浅村。

 

 

試合は負けた

 さて

 そこで私はワグネリアンと言うサラブレッドを心に刻む。そして福永祐一というジョッキーを知るのだ。自分が南関の砂にどっぷりと浸かったりする前は、わー福永さんかっこいい!かっこいい!いつかみたい!と思っていた。そういう心って大事だよね。そういう心を持ち続けた結果、まあ後々、おす人間は違うのかもしれないけれど、とってもやばいことになってしまうのだけれど、さて、推しに心動かされながら、でも最終的にどこでも虚無をする僕の物語は、おそらくここらの球場で始まって、もしかしたらそれらの球場で終わるかもしれない。白球を追いかけた私が白球も追いかけたり、走る人たちを追いかけていく幾星霜。ボールを投げるかトラックを走るか。どちらにしろ僕は虚無をするのだ。僕は鉄火場で虚無をするのだ。