さなぎ長文

けいば 妄言

2019-01-01から1年間の記事一覧

夕闇に吹け 菱柄の北風

夜と昼の境目は大井競馬場に落ちている。すべての色彩が感応し合い、そしては青い暗さに満たされていくのだ。 その夕闇の中で、はにかんで、いろんな表情をして、それで快活にしゃべって、けらけらして、ああ、御神本さんが出ないレースは、この人を撮ればい…

萩へと益田へと至る道

羽田空港の滑走路から山口空港行きの機体が私とほか数名を連れて無理やりな角度で飛び出した時、私はなんで急に萩、益田に行くことになったのだろうと思ってしまった。思ってしまったからには後悔などはありますかと言われたらどちらかというと後悔ではなく…

小説、御神本騎手について。

東京の浜松町と羽田空港の奥座敷までを結ぶモノレールを東京モノレールという。がたがたうるさいがわりと速い。 それに揺られながら、私は思うのだ。私は今何ページ目を開こうとしているのだろうと。 小説御神本騎手という本は何ページで構成されていて、わ…

ダービージョッキーに会いに新潟まで行った話

新潟の空に消えそうになる福永さんに手を伸ばそうとして でも私にはあまりにも新潟の空は広すぎて何もできなかった 目の前を蹄の音を立てて風のように過ぎ去っていったふくながさんをずっと見ていて、まるで涼しかった新潟の空にそのまま駆け上がってしまい…